令和6年6月県議会 本会議(官製談合事件について、柏崎刈羽原発について)
2025.05.27
◆諏佐武史君 未来にいがたの諏佐武史でございます。通告に従い一般質問をいたします。 まず、官製談合事件についてでございます。 昨年9月20日、県新発田地域振興局農村整備部発注工事における官製談合事件が発覚して、9か月が経過しました。同年11月1日に前農村整備部長が起訴され、今年1月29日に有罪判決が下り、県はそれらを受け、2月に内部調査報告書及び再発防止策を策定しました。 県のまとめによれば、官製談合防止法施行後に農村整備部長に就任した9人のうち、秘密事項を元顧問に教示していた者が7人、教示しなかった者が1人、未回答が1人であり、それぞれ引継ぎもなく独断で予定価格などを教示していたことから、組織的な関与は認められなかったということであります。 この県による内部調査の内容について、今年2月定例会の2次連合委員会において、知事は、片野猛議員の質問に対し、確認できることについては全て調査していると答弁し、また昨日の代表質問を含めたこれまでの大渕健議員の質問に対して、知事は、事実関係は把握できていると答弁をされました。 その根拠については、警察による捜査、内部での聞き取り及び公判内容とそごがないことを挙げられております。 県は、今月12日、事件の背景や県の組織風土の問題点、内部統制の課題を検証する外部有識者会議を設置すると発表し、17日に初会合が開かれ、今後、現職の県職員から聞き取り調査をすることを決めたとのことであります。 以上の一連の流れを踏まえて、全容解明に対する考え及び再発防止に対する考えについて、それぞれ質問します。 まず、1つ目の質問は、県の実態解明に対する認識についてであります。 先ほども述べたように、知事は今回の官製談合事件については、確認できることについては全て調査している、また、やれることは全てやっているという認識をこれまでに示されました。 昨年12月定例会における一般質問でも指摘したように、我が国の刑事訴訟法は起訴便宜主義を採用しており、起訴事実の違法性及び罪責しか審理されないため、捜査や公判では事件の全容は把握できません。 内部調査についても、根本の原因となる背景や組織風土などの調査については、これから有識者会議で検討されるということで理解しておりますが、不祥事を起こした際のほかの自治体及び企業が調査した報告書に比べると、基本的な調査項目が欠落しており、やれることについては全て調査したと言える水準にはないと考えます。 県がまとめた内部調査報告書は、内容は簡潔で理解しやすい一方で、詳細な原因分析や事件の本質及び組織的要因に対する言及がなく、起訴事実以外の本県発注工事における入札関連業務の分析や、対象とする期間をはじめとした調査範囲及びそれに基づく事実認定の正確性や説得力が不足している上に、不正の手口も詳細はいまだ不明であり、また責任の判定も明らかではありません。 また、事件における最大のポイントは、聞き取りに応じた歴代の当該部長8人のうち7人が価格情報を漏えいしていたと認めたことであり、その上で組織としての関与は認められなかったと判定していますが、不正への関与、教示方法についても不十分で、有識者会議でも、深掘りが足りないのではないかという指摘があったようであります。 ほかにも考えられる調査方法としては、新潟地方検察庁に対して、事件関係者の証言が詳細に記載された刑事確定訴訟記録の閲覧申請を行うことも挙げられます。 私は、過去に自治体における不祥事、刑事事件の調査を行う際、この確定記録を確認し、そこに記載された内容に基づいて真相解明の議論を行ってきました。 これは許可が必要ですが、私は過去に何度か申請して許可されなかったことはなく、また再発防止策を求める自治体や、報道関係者も取材として閲覧されるケースもあると聞いておりますので、県も調査方法として考えられるはずであります。 先ほども申し上げたように、公判の内容は事件の背景及び全容の一部でしかなく、それとそごがないことを根拠に、県はこれまで、事実関係は把握できている、あるいは確認できることについて全て調査したとしていますが、今回の事件においても、まだまだ調査できる項目は多々あると考えられ、これまでにもお示しした一般的な企業、団体、自治体などの内部調査の内容と比べても不十分であると考えますが、知事の認識を伺います。 次に、今月12日に設置した有識者会議の概要を見ると、当該事案に至った背景を含め、県庁全体の組織風土や内部統制における課題等について調査及び提言を受けるとされており、このたび発生した官製談合事件の全容解明について、どこまで行うのかが明らかでありません。 詳細な議論は、当会議の提言が取りまとめられないと行うことはできないと思いますが、よくあるのが、組織風土などという曖昧なもののみに原因を求め、事件の全容や責任関係まで踏み込まない報告書や提言が散見されます。 会議の調査対象は、事件の背景、組織風土、内部統制と説明されておりますが、この会議は、事件の全容、つまり、先ほど私が述べたような不正行為の具体的な全容、全貌の把握までを目的とした会議になっているのか、昨日少し言及がありましたけれども、知事の所見を伺います。 次に、事実関係の解明に基づいた再発防止について、4点にわたって質問します。 県は、このたびの事件を受け、再発防止策として、職員に対するコンプライアンスの徹底、入札制度の見直しなど、大きく4つの再発防止策を策定しました。 速やかな対応を評価する一方で、内容を見ると、後で指摘しますが、その実効性については不十分と指摘せざるを得ず、今年2月定例会でも、私を含め複数の議員から、多くの指摘、意見が見られたところであります。 この有識者会議ですが、最終的に県への提言をまとめる予定になっているということであります。 県は2月に再発防止策を一度まとめられましたが、当有識者会議の調査結果に基づく再発防止策が取りまとめられた場合、結果を受け、改めて再発防止策を修正し、まとめ直すこともあり得るという認識でよいか伺います。 次に、今回の官製談合事件の原因について、県は報告書によると、元顧問から働きかけがあり、その働きかけに対して各部長が個人的に判断し応じたことが原因としております。 県の内部調査によると、歴代の部長のうち、回答した8人中7人が価格情報を漏えいしていたということであり、その動機が、主として、業界がコントロールされるのであればよいなどと聞き取りに応じたということであります。 そうであれば、今後も県が本来秘密である価格情報を持ち続ける限り、同じような不正がいつでも起こり得る危険性があり、2月定例会の建設公安委員会でも、私の質問に対して土木部は、県でどのような対策を打ち出したとしても、談合の意志を強く持った者に対して、法を犯すことを完全に抑止することは難しいと答弁をされました。 しかし、今回発覚した官製談合事件は、予定価格を秘密情報にしていること及び予定価格を基準とした最低制限価格を設定していることが、制度上の原因の一つであることから、価格情報に意味を持たせない制度を導入することも一つの方法であると考えます。 例えば、このたび発覚した官製談合事件と同様の事案があった自治体の多くは、入札案件ごとの入札価格の平均額を基に最低制限価格を算出する制度を導入しました。予定価格の事前公表と併せて行えば、価格情報の漏えいといった問題は起こり得ないのであります。 今紹介した制度は一つの例であり、これのいいか悪いかの検討は別に行われるべきと考えますが、このような不祥事を完全に封じることに成功した、ほかの自治体の制度も踏まえ、同様の事件の再発を防ぐことが必要であります。 県がまとめた再発防止策では、この点に関する対策が講じられておらず、今後も落札につながる何らかの手がかりを得たいと考える利害関係者が現れる可能性があります。 今申し上げたことを踏まえ、再発防止という観点から考えると、漏えいを働きかける動機を失わせる仕組みに見直すことも必要と考えますが、知事の所見を伺います。 次に、今回の事件の性質や要因を踏まえた再発防止策を考える上で、特に利害関係者との関わりについて検討することが必要であると考えます。 冒頭にも述べたように、このたびの事件に限らず、歴代の情報漏えいをしたと答えた元部長の7人全員が、元顧問からの依頼がきっかけだったと聞き取りに対して答えております。 内部調査報告書によると、元部長は、価格情報を教示しなければ何らかの圧力があるのではないか、また、業界とうまくやっていかなければ、この地でやっていけないと考えたということであります。 職員個人の倫理観醸成は必要ですが、今回の官製談合事件の性質、要因を考えると、職員と利害関係者との関わり方も再発防止の重要な点になると考えられます。 ほかの自治体においても、利害関係者との関わり方を見直し、ルールを定めたことにより、不正防止、また職員の負担軽減を図ったという事例も多々あると聞いております。 例えば、ほかの価格情報の漏えいが起きた自治体では、利害関係者の定義を明らかにした上で、それらの対応の際の人数や職階等のルールを明確にすることにより、担当職員に不当な要求があっても、一人で抱え込まず、ルールに従い毅然と対応できるとしており、我々議員を含む利害関係者からの要望は全て記録し、必要に応じて公表することにより、不当な要求に対する抑止力及び職務執行の透明性確保を行うことにしたということであります。 事件の再発防止という目的だけにとどまらず、あらゆる不当な要求や不正を未然に防ぐという視点からも、できるだけ利害関係者と不適切な関係が生じるような機会を削減するべきであり、この点も改めて検討すべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 この項最後に、当県発注工事における入札制度の在り方について伺います。 県は、事件を受け、再発防止策の一つとして、一般競争入札の対象額を1億2,000万円から7,000万円に引き下げることにしました。この制度改正により、県発注工事における一般競争入札の割合が、3.5%ほどから11%まで増加する見込みということであります。 再発防止策として一般競争入札の対象を拡大するということなので、県としても指名競争入札が談合の要因の一つであるという意識があったのだと思われますが、私はこれまで、この一般競争入札の対象額7,000万円に引き下げるという改正は、官製談合事件が起きた自治体の対応としては不十分であると指摘しました。 その理由は、一般競争入札が11%ほどに拡大したとはいっても、今後も、一般的に談合の温床と言われる指名競争入札を中心に運用していくことが見込まれており、再発防止策としては実効性に欠けると考えたからです。 これまでの議論で、知事は、平成18年の県議会における決議などを理由に、指名競争入札を中心に運用してきたと答弁をされてきました。 決議の趣旨は、入札制度改革を急激に実施することは、本県建設業者を行き過ぎた価格競争に巻き込み、公共工事の品質の確保に支障を及ぼし、下請へのしわ寄せにつながるのは明白であることから、県民生活の安定や産業育成にも配慮し、適切なる対応策を十分検討し、実施すべきことを強く求めるというものであります。 この平成18年に可決された決議を根拠に指名競争入札を中心に運用していくことは、以下の理由により、問題があると考えます。 まず、決議の趣旨の一つであり、知事もこれまでに答弁されている、行き過ぎた価格競争に巻き込むという点については、これまでの議論でも指摘しているように、そもそも落札業者が適正な利益を確保するために、かつ、行き過ぎた価格競争にならないために最低制限価格が設定されていると理解しております。 それでも、これまで知事が答弁されてきたように、最低制限価格に常に張りつくような入札は望ましくなく、行き過ぎた価格競争を懸念するのであれば、数年前に見直しをされた最低制限価格の設定を、また改めて見直すことを検討すべきであり、指名競争入札を中心に運用する理由にはなりません。 競争性を正面に掲げながら、適正な競争を信頼しない県の姿勢は、ダブルスタンダードと言うべきであり、理解に苦しむところであります。 次に、知事がこれまで答弁の根拠とされてきた、決議中の公共工事の品質低下につながるという点についても、今年2月定例会の建設公安委員会で議論しましたが、最低制限価格設定の趣旨は、品質低下を防ぐためのものでもあるとされていることから、発注者である県の価格設定と、求められる品質の関連性が十分認められることが大前提であるべきであります。 しかし、これまでの答弁によれば、本県において落札率と品質に関する分析を行ったことはないということであり、さらに全国的には20年以上前より一般競争入札の導入が進められている中、落札率の低下は工事品質の低下につながるかという研究や実証が官庁及び自治体で行われ、この両者に相関関係はないという評価が定着をしております。それは、昨日も言及があったように、発注者がしっかりと品質を確認しているからであります。 最後に、地域の建設産業の振興、育成という理由も述べられておりましたが、15年から20年ほど前、全国的に指名競争入札中心の運用から一般競争入札中心の運用へ移行している時期に、国や専門家は、受注の結果まで配慮した運用が行われることは、競争的な体質を弱め、健全な成長・育成を阻害しかねないという考えを示しており、またこれまでの判例を見ても、最高裁判所は、入札参加者の指名に際し、契約履行の確実さや地域経済の活性化という要素を考慮することは許されるとしながらも、これらを理由とする指名競争入札は、競争性及び自治体における経済性、価格有利性の確保が前提であると判示し、水戸地裁は、当該入札、つまりその入札の対象となっている工事の適正さと合理性の観点によるべきであり、将来にわたる地元建設業者の育成を目的とすることは、地方自治法の趣旨に反すると判示しました。 こっちは、制限付一般競争入札における入札参加資格の制限が争われた事例ですが、その射程は自治体が発注する指名競争入札にも及ぶと解されており、結果として、将来の災害発生時への備えといった重要な政策課題があったとしても、当該入札自体の適正さなどとは次元を異にするとし、将来の担い手確保を口実に、よそ者排除を正当化してはならないという趣旨の判決を下しました。 これらは、指名業者の許容範囲を詳細に示したものではなく、また品確法の趣旨と相反して見えますが、地域の建設業者の発展、育成は重要としながら、それよりも入札における競争性及びそれに基づく発注者の経済性をうたう地方自治法が優先されることを明らかにした判旨であります。 以上を踏まえると、平成18年の決議は、現在にわたって指名競争入札を中心に運用する根拠とはなり得ず、品質確保及び建設産業の振興の点のみを強調し、競争性や経済性を度外視して一般競争入札を殊さら疑問視する本県の意識は、時代に逆行していると言わざるを得ません。 ただ、あえて決議の趣旨を酌んで理解すれば、決議は入札制度改革を急激に行うことに対する懸念を示しているため、ほかの自治体と同様、段階的に、検証を重ねながら改革を行う姿勢が必要であったと思います。 このたび発覚した官製談合事件も、元部長個人の倫理観欠如、非違行為、また組織風土だけが原因ではなく、時代や状況に合った制度改善を図ってこなかった県の責任も免れないと私は考えているところであります。 知事はこれまで、公共工事の入札は競争性、公正性、透明性確保が大前提と答弁されております。これまでの繰り返しになりますが、これらの前提が確保されるのは一般競争入札しかあり得ないのは公共調達の常識であり、議論の余地はありません。 ほかの都道府県と比較しても、本県における一般競争入札の対象額7,000万円というのは、特殊な条件を持つ東京都に次いで全国第2位という非常に高い水準であります。 引き下げたとはいえ、県も事件の要因として認められている指名競争入札を、過剰とも言える割合で優先させる本県の入札制度を、今後も変わらず継続していく姿勢には疑問を感じるところであります。 以上に述べたことを踏まえ、まずは一般競争入札の対象額をほかの自治体並みにすべきであると考えます。 具体的には、全国知事会によって公表された方針、これに従い、全国で30道府県が一般競争入札の対象額を1,000万円以下に設定をしております。 本県においても、事件を受けた自治体の対応、また知事が再三にわたって述べられてきた競争性、公正性、透明性確保のために、対象額を他県並みの水準に設定することが妥当と考えますが、知事の所見を伺います。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働問題について伺います。 6月5日、県が独自に設置した防災対策検討会の初会合が開かれました。 本会は、令和6年能登半島地震における災害対応の経験や教訓を踏まえ、県の防災対策上主要かつ優先して対応すべき課題について取組の方向性を検討し、県地域防災計画や県の施策に反映することを目的として、地震・津波等避難対策、孤立地域対策、避難所等運営対策、原子力災害との複合災害時の対応などについて検討していくとのことであります。 第1回検討会の当日資料として既に県のホームページでも公開されている設置要綱には、本県の防災対策上主要かつ優先すべきこれらの課題に対する取組の方向性を検討するためとありますが、より詳細な本会設置の目的について伺います。 次に、防災対策検討会について、会議資料や開催後の議事概要は公表する一方、会議自体は非公開とのことであります。 近年、能登半島地震もさることながら、大規模災害が頻発する中、防災に対する県民の関心が高まっております。特に本年は1964年6月16日の新潟地震から60年、2004年10月23日の新潟県中越地震から20年という節目の年でもあり、まさに防災について考える最適なタイミングではないかと考えます。 このような状況も踏まえ、会議は公開で行うべきではないかと考えますが、非公開とする理由について伺います。 次に、避難委員会との関連についてであります。 平成29年8月に設置された新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会、いわゆる避難委員会は、県による3つの検証委員会の一つとして、原子力災害時の安全な避難方法について検証するために設置されたものと認識をしております。 3つの検証委員会では、それぞれの分野の専門家が検証し、取りまとめた報告書を県に提出し、県は、これら福島第一原発事故に関する3つの検証の報告書に基づき、昨年12月に3つの検証を総括したところであります。 避難委員会では避難に関する様々な課題が抽出されたものと認識しておりますが、令和6年能登半島地震における災害対応の経験や教訓を踏まえ、本県の防災対策上主要かつ優先して対応すべき課題について、取組の方向性を検討するために設置した防災対策検討会において、避難委員会で抽出された課題についても議論すべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 次に、委員の選定についてであります。 防災対策検討会では、県内外の大学の学識経験者、それから、いずれもNPO法人でありますが、防災関係団体、そして柏崎市と上越市といった自治体の3分野から、合計10名の有識者が委員として選定をされております。 これらの委員におかれましては、いずれも防災対策や災害対応といった分野に関する知見を有され、精通された方々であるとは思いますが、これらの委員は具体的にどのような考え方に基づいて選定されたのか伺います。 また、今月5日に開催された第1回検討会の会議資料では、検討の進め方の案が示されており、今後の検討会の進め方として、第2回以降を今年7月以降、1か月から2か月に1回程度のペースで開催し、地震・津波等避難対策、孤立地域対策、避難所等運営対策など、課題テーマ別に検討課題を整理していくとのことでありますが、いつ頃までに本検討会としての意見取りまとめが行われるのかお伺いするとともに、本取りまとめ結果については、当然、柏崎刈羽原発の再稼働の判断にも大きく影響するものと考えられることから、本検討会における結論が出ないうちは再稼働の判断はできないものと考えますが、知事の所見を伺います。 次の質問です。 国の原子力規制委員会は、能登半島地震により、石川県にある志賀原子力発電所の周辺を含む広い範囲で建物の倒壊や集落の孤立が相次いだことを受けて、原発事故の際に、被曝を抑えるために自宅などにとどまる屋内退避の在り方を議論するため、今年3月27日に、原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームを設置したところであります。 本検討チームは、規制委員会の委員2名のほか、内閣府の原子力防災の担当者や原発立地の自治体関係者、外部の放射線の専門家などで構成されますが、屋内退避を効果的に運用するために、屋内退避の対象範囲や実施時期などを検討し、令和6年度中を目途に検討結果の取りまとめを目指しているとのことであります。 当然ながら、本検討結果についても柏崎刈羽原発の再稼働の判断に大きく影響するものと考えられることから、本検討結果が出るまで再稼働の判断はできないものと考えますが、知事の所見を伺います。 また、原子力規制委員会における屋内退避の運用を見直す検討においては、テロやミサイルの着弾といった場合に生じる大規模な放射性物質の放出は検討を予定していないと認識しております。 これまでも、日本国内の原発への軍事攻撃に対する危険性は、過去の国会においても何度も取り上げられてきたところですが、政府側は明確な回答を避けてきたという経緯があります。 地域の住民に安心感を与えるという意味でも、万が一の備えとして、想定され得るあらゆるリスクを洗い出した上で、それらへの対応に関するシミュレーションを行っておくことは重要であり、これらのような最悪のケースを想定して、放射性物質の大規模放出の場合の避難対応の検討も国に求めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 柏崎刈羽原発を運営する東京電力は、これまでもトラブルを繰り返しており、原発の運転者としての適格性が疑われてきたところですが、最近でも5号機におけるケーブルの敷設ミスや、7号機の燃料装荷作業における制御棒を操作する装置のブレーカー落ちによる装荷作業中断など、トラブルを相次いで起こしております。 このような状況の中、昨年12月に原子力規制委員会が東京電力に原発を運転する適格性があると改めて判断し、事実上の運転禁止命令を解除したところであります。 国においても再稼働に関する地元の理解を求める動きが本格化しており、来月15日から県内7か所で県が開催する、柏崎刈羽原発に係る国の取組に関する説明会に内閣府や資源エネルギー庁が出席し、原子力災害対策やエネルギー政策について県民に直接説明するとのことですが、最近でもトラブルを相次いで起こしているような状況にある東京電力の原発運営の適格性について、改めて知事の所見を伺います。 次に、県試算による経済効果について伺います。 これは、昨日、今日と同様の質問がありましたが、通告どおり質問します。 県は今年4月に、柏崎刈羽原発を再稼働した場合の経済効果に関する調査結果を公表したところです。 本調査では、6・7号機再稼働時、稼働停止時、廃炉時の3つのパターンが、仮に10年間継続した場合について比較検討を行っており、それぞれ、6号機と7号機が再稼働した場合は10年間で4,396億円、全ての原子炉の稼働が停止している場合は10年間で2,984億円、全ての原子炉を廃炉する場合は10年間で1,262億円の経済効果が見込まれるとのことであります。 この中には東京電力が原発関連の工事を地元企業に発注する費用や、東京電力の従業員による県内での消費などが含まれるとされており、地元関係者からは、再稼働による経済効果を認めていただいたことを歓迎したいとの声も上がっているところですが、一方で、示された金額は10年間の数字であり、金額を錯覚させ、メリットを過大に強調しているという指摘もあるところであります。 これは、単年で考えると効果は県内総生産の0.1から0.5%程度、財政効果も当県予算の0.6から2.5%程度であり、危険を負担する地元のメリットは極めて限定的と言えます。 知事は、今回の調査結果が地域経済の活性化とイコールではないとこれまでにコメントされておりますが、改めて本調査結果についての知事の受け止めを伺います。 また、東京電力福島第一原発事故では、過酷事故が起きれば処理費用は巨額となることが明らかになりました。今回の試算には、事故が起きた際のコストについては言及されておりません。 6、7号機は高齢原発であり、地震も含め、様々なリスクを持ちます。再稼働後、安定的に発電を続けられるとは考えにくく、既に様々なトラブルも発生しているところであります。 柏崎刈羽原発の再稼働を検討するに当たっては、検討要素の一つとして、再稼働による経済効果などプラス面の試算だけでなく、万が一、原発事故が発生した場合には、農林水産業や地場産業、観光業などにおいて大きな打撃を受けることが想定されることから、これらの経済的な損失額などマイナス面の試算も行っておく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 最後の質問です。 知事を応援する団体である県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会は、平成30年度の1期目の知事選挙の際、地元紙である新潟日報の全面広告において、再稼働の是非は、県民に信を問います、脱原発の社会を目指しますと大きく掲げられました。 その一方で、令和4年度の2期目の知事選挙では、県民の信を問うことを考えます、将来的には、原発に依存しない社会の実現を目指しますとの公約が掲げられており、これらの言葉を比較すると、公約の表現がややトーンダウンしたようにも思えますが、現在においても当初の柏崎刈羽原発に関する考えに変わりはないか、知事の所見を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔知事花角英世君登壇〕
P.113 ◎答弁 知事(花角英世君)
◎知事(花角英世君) 諏佐議員の一般質問にお答えいたします。 まず初めに、予定価格等漏えい事案に係る内部調査結果に対する認識でありますけれども、県といたしましては、元部長や歴代の部長に聞き取りを行い、対象工事、漏えいの経緯、動機、引継ぎや見返りの有無など、確認できることについて、全て調査しており、他団体の調査と比べても、遜色ないものと考えています。 調査において明らかとなった内容は、公判等の内容と相違はなく、また、歴代部長の間の供述などに矛盾もなかったことから、事実関係は把握できているものと考えています。 次に、本事案の調査についてでありますが、このたびの事案の発生を受けて行った内部調査において明らかとなった内容は、今ほど申し上げたように、公判等の内容と相違はなく、また、歴代部長の間の供述などに矛盾もなかったことから、事実関係は把握できているものと考えています。 そのため、この有識者会議では、今後、県庁全体において、同様の非違行為が発生することのないように、当該事案に至った背景も含め、県庁全体の組織風土の問題点や、内部統制における課題等について、幅広い層の職員への聞き取り調査を行っていただくこととしております。 次に、有識者会議を受けての再発防止策についてでありますが、この有識者会議は、このたびの事案の発生を受け、当該事案に至った背景を含め、県庁全体の組織風土の問題点や、内部統制における課題等について、外部有識者から調査及び提言をいただくため設置したものであり、今後、提言を踏まえ、県として必要な対策を講じてまいりたいと考えております。 また、先般取りまとめた再発防止策につきましては、県民の信頼回復に向けて確実に実行し、今後、課題等があれば必要な見直しを行ってまいります。 次に、情報漏えいを働きかける動機を極力失わせる仕組みへの見直しについてでありますが、今回の入札制度の見直しにおいて、談合等の不正行為に対する抑止力を高めるため、入札時における誓約書の提出の義務づけや、ペナルティーの強化として指名停止期間の引上げを行うとともに、7月から、価格のみではなく建設業者の技術力等も含め、総合的に評価し落札者を決定する、総合評価落札方式を拡大することとしております。 こうした取組により、情報漏えいを働きかけることへの動機づけが低下するものと認識をしております。 次に、入札手続に関係する職員と利害関係者との関わり方でありますけれども、県では、職員の綱紀の保持及び服務規律の確保のための指針を定め、利害関係者との接触に際しては、県民に疑念を持たれるおそれのある行為は厳に慎むよう、徹底しているところであります。 本事案の発生を受け、改めて幹部職員に対して法令遵守の徹底を指示するとともに、全職員に対し公務員倫理研修を実施したほか、人事ローテーションの在り方についても見直しを行ったところです。 今後も、様々な機会を捉え、職員への意識づけを行ってまいります。 次に、一般競争入札の拡大についてでありますが、今回の入札制度の見直しに当たりましては、平成18年12月定例会で全会一致で可決された、官製談合等公共調達に係る不正の根絶と入札制度改革についての決議において、県民生活の安定や産業育成にも配慮すべきとされた趣旨を踏まえ、地域に貢献している地元建設業者の受注機会の確保を図る地域保全型工事を維持することなどを念頭に検討を行い、一般競争入札の対象を7,000万円以上に拡大することとしたところであります。 一般競争入札の拡大は、7月から実施することとしており、拡大後の状況を注視しつつ、課題等があれば検証し、運用の見直しに取り組んでまいります。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働問題についてお答えをいたします。 まず、防災対策検討会における避難委員会の課題の取扱いについてでありますが、検討会では、令和6年能登半島地震の状況を踏まえ、津波や地震などの自然災害における防災対策を中心に課題について検討していただき、その議論の中で、自然災害と原子力災害の複合災害についても併せて検討していただくこととしております。 検討会において、避難委員会で抽出された課題につきましては、今後の議論の中で関連するものがあれば、参考にしながら議論していくものと考えています。 次に、防災対策検討会の取りまとめ時期と柏崎刈羽原発の再稼働の判断についてでありますが、検討会では、今ほど申し上げましたように、令和6年能登半島地震の状況を踏まえ、津波や地震などの自然災害における防災対策を中心に課題について検討していただき、その議論の中で、自然災害と原子力災害の複合災害についても併せて検討していただくこととしておりますが、取りまとめ時期については、現時点で決まっておりません。 また、柏崎刈羽原発の再稼働に関する今後の議論の進め方については、福島第一原発事故に関する3つの検証の取りまとめ、原子力規制委員会の追加検査を踏まえた判断、技術委員会における安全対策等の確認、原子力災害発生時の避難の課題への取組などを材料に議論を進め、県民等の意見を聞き、その上で判断・結論を出して県民の意思を確認することを考えております。 検討会における原子力災害に関する議論については、原子力災害発生時の避難の課題への取組に含まれるものであることから、再稼働の議論の材料になるものと考えております。 次に、柏崎刈羽原発の再稼働の判断と国の検討チームの議論との関係についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働の判断に当たっては、国の屋内退避の運用に関する検討チームの議論の推移を注視しながら、どこかの段階で判断するものと考えております。 次に、テロやミサイルの着弾等により、原発から放射性物質が大規模放出した場合の避難対応の検討についてでありますが、原発に対する武力攻撃事態等にどう対応するかという点に関しては、国の所管事項であり、議員御指摘のとおり、国において検討すべきものと考えております。 県といたしましては、これまでも原子力発電関係団体協議会や全国知事会を通じて、原発に対する武力攻撃事態等において、事態の進展に応じた住民避難の手段の確保など、実効性のある対策が迅速に講じられるよう要望してきたところであり、引き続き、国へ働きかけてまいります。 次に、東京電力の運転適格性についてでありますが、昨年12月に原子力規制委員会は、東京電力の運転適格性がないとする理由はないと改めて判断しました。これまでの不適切な事案に加え、その後にも、議員御指摘の事案が発生し、今もなお東京電力に対する県民の信頼は大きく損なわれていることから、県は、国に対し、国が前面に立って、県民から信頼される運営体制を構築するよう要望したところであります。 なお、原子力規制委員会は、今後とも、原子力規制検査をはじめとする規制活動を通じて東京電力を監視していくとしており、引き続き、厳格に対応していただきたいと考えております。 次に、柏崎刈羽原発の経済効果に係る調査結果の受け止めについてでありますが、このたびの調査は、発電事業者のデータなどを活用し、6・7号機再稼働時、廃炉時、稼働停止時の3つのパターンを想定した上で、一定の条件の下で試算したものであります。 柏崎刈羽原子力発電所の経済効果については、地元発注や従業員の消費支出による経済波及効果や、国からの交付金等の財政効果などがあり、調査により、これらを定量的にお示しできたものと考えております。 経済効果の多寡をはじめ、事故時の損失に対する御指摘など、様々な御意見をいただいており、再稼働に関する議論の材料の一つになったものと受け止めております。 次に、柏崎刈羽原発において事故が発生した場合のマイナス面の試算についてでありますが、事故発生時の経済的損失については、試算の前提となる柏崎刈羽原発での事故や被害の態様を特定することが困難であることから、今回の調査には含まれておりませんが、再稼働に関する議論の中では、当然、考えられていくものと理解しております。 次に、柏崎刈羽原子力発電所に関する考えについてでありますが、知事就任当初から変更はございません。 〔防災局長原直人君登壇〕
P.115 ◎答弁 防災局長(原直人君)
◎防災局長(原直人君) 3点についてお答えいたします。 令和6年能登半島地震を踏まえた防災対策検討会の設置目的についてでありますが、県では、これまでも大規模災害が発生した際にはその振り返りを行い、必要に応じて地域防災計画に反映してきており、今回の地震においても振り返りの上、地域防災計画の見直しなどを行うこととしております。 このたびの能登半島地震では、約30年ぶりに発令された津波警報による避難行動において、避難すべき対象者の適切な避難方法等の課題が見られました。また、本県では事例はありませんでしたが、能登半島で発生した地域の孤立や避難所運営の在り方に関しては、本県においても今後の災害対応に備えておく必要があると考えております。 このため、これらの経験や教訓を踏まえた、災害対応や防災対策上の主要な優先課題の抽出と、その取組の方向性を検討するに当たり、専門的な知識や経験に基づく御意見を伺うため、有識者で構成する検討会を設置したものです。 次に、検討会を非公開とする理由についてでありますが、検討会は、令和6年能登半島地震を踏まえた新潟県地域防災計画の見直しなどに向け、専門的な知識や経験を持つ委員の御意見を伺うために設けたものです。 検討会では、委員による忌憚のない率直な意見交換をしていただくことが重要であると考え、非公開としたものです。 なお、県民からの意見につきましては、検討会における検討結果を踏まえ、新潟県地域防災計画を見直す際に、パブリックコメントの実施により反映することとしております。 次に、検討会の委員選定の考え方についてでありますが、検討会では、令和6年能登半島地震の状況を踏まえて、災害対応や防災対策上の主要な優先課題として、地震・津波からの避難対策、孤立地域対策、避難所の運営対策について、検討していただきます。 このため、それぞれの検討課題に関して、専門的な知識を有している学識経験者や防災関係団体、地域の実態を把握している自治体から選定しております。 具体的には、津波からの避難に関して、災害時の社会心理学や交通工学等を専門とした学識経験者のほか、孤立地域におけるライフライン対策を専門とした学識経験者、女性視点の避難所運営に関して知見を有しているNPO団体から選定しております。 また、自然災害と原子力災害の複合災害につきましても、自然災害における防災対策と併せて検討していただくため、原子力防災を専門とした学識経験者から選定しております。 〔諏佐武史君登壇〕
P.116 ◆質問 諏佐武史君
◆諏佐武史君 1問だけ簡単に再質問しようと思いますが、公判や、あるいはその捜査、裁判が終わったら事件全てが終わったと誤解されるケースが多いのですが、県の対応は、そうではないから内部調査報告書をまとめられていると思います。 そういった意味では、今回の県が独自に内部調査されたという部分については非常に高く評価しているのですけれども、先ほど私がお示ししたような例など、新しい事実を今後知り得る、新たに了知し得るケースというものは、いろんなパターンであり得ると思うのですが、その場合に、県は今のところ、内部調査報告書にまとめられたものが事件の内容であるということで把握されていると思うのですが、新たな事実が分かった段階で、県の認識をまた改めてまとめ直す、事件の全貌について県の認識を改め直すということはありますでしょうかということを再度伺います。 〔知事花角英世君登壇〕
P.116 ◎答弁 知事(花角英世君)
◎知事(花角英世君) 諏佐議員の再質問にお答えしたいと思いますが、一般論として、そうした新しい事実なり新しい資料が出てくれば、それは当然それをしっかり読み込んで、理解をした上で、これまでの理解と認識が違うということであれば、考え直すことは必要になると思います。 ましてや今、有識者会議を立ち上げて、改めてこの非違事案を再度起こさせないようにするための組織風土と、あるいは内部統制について議論していただいている途上でありますので、そうした中で新しい資料が出てくれば、それは議論していただくことも十分あり得るとは思います。
P.116 ○議長 議長(楡井辰雄君)
○議長(楡井辰雄君) 諏佐武史君の質問は終わりました。