令和2年9月議会 本会議 市発注工事に係る入札情報漏えい事件の調査に関する決議(討論)
2020.12.03
◆諏佐武史君 諏佐武史でございます。発議第4号市発注工事に係る入札情報漏えい事件の調査に関する決議について、賛成の立場で討論をいたします。
磯田市長も異常事態と述べた本事件は、平成23年から漏えいをやめたという平成30年まで7年以上の長期間にわたって情報漏えいが続けられてきたものであります。本事件により、長岡市役所の組織体質、組織文化の問題も浮き彫りになり、公平、公正な市政がゆがめられているのではないかという疑いも生じております。
以下、3つの要点に分けて、賛成の理由を申し上げます。
まず、これまで私は、今年3月と6月の議会で2度にわたって本事件について一般質問を行ってまいりましたが、これまでに全く納得のいく答弁がなく、また質問のたびに新たな疑惑が生じており、真相解明には一切至っていないことが1つ目の理由であります。
具体的には、事件の内容についての質問に対して質問趣旨からそれる答弁が繰り返されていること、そして答弁の内容が過去の答弁と矛盾してきており、一体何が真実なのかが見えてこないことにあります。市はこれまで再発防止策として職員へのアンケートや入札制度改革に取り組んできたことを何度も答弁をされました。しかし、関貴志議員が言ったように、本事件は公共工事に絡む事件でありますが、市の組織文化や組織体質が問われる大変根深い事件であります。アンケートや制度変更で再発防止になるという発想は短絡的と言うべきであり、根本的な解決になるとは到底考えられません。これまでも申し上げているように、まずは事件の根本的な原因と実態を明らかにすることが必要であります。
確定記録の内容が事実ではないとするのであれば、その根拠を答弁の中で示すべきであります。確定記録を否定する根拠を質問しても、内容についての答弁はありません。市は、確定記録に記載されている事件の根幹部分を否定されておりますが、その否定されている供述は総務部長が全面的に捜査に協力したとする現長岡市職員のものも多数含まれており、大きな矛盾、自己否定を抱えております。
内部での聞き取りを行った結果として職員が供述した内容を否定するということであれば、全面的に協力したはずの職員が虚偽の供述をしたのか、内部での聞き取りの際に虚偽の回答をしたのか、2つに1つであります。いずれにせよ、市は責任を免れません。その責任関係を犯罪捜査とは別の再発防止の視点から調査し、長岡市が何のために、誰の責任で何を行い事件に至ったのか、そして市の対応が適切であったのか、これを明らかにせず再発防止策を行っても絵に描いた餅同然であり、何らの実効性はありません。
次に、市は事件の実態や詳細について一切の総括、そして市民への報告を行っていないことが2つ目の理由であります。市長は、昨年3月議会で、「市民への説明については、今後も様々な手段を通じて速やかに説明を尽くしてまいりたいと考えている」と答弁をされながらも、これまでに事件の実態や詳細についての説明は皆無であります。事件後、再発防止のための第三者委員会が立ち上げられ、その取組についてはホームページや市政だよりに掲載して広く周知を図ってきたということであります。しかし、何よりも重要なのは、事実関係の説明であります。
再発防止策と実態解明は切り分けて調査、報告する必要がありますが、実態についての総括、報告はこれまでに一切行われてきませんでした。一般質問の中で、市民に対する説明は尽くしたという認識かという質問に対しても「職員へのアンケートを実施し、可能な調査を行った」などと、全く見当外れの答弁が繰り返されており、様々な疑念が生じております。
さらに、今ほど加藤議員がおっしゃられたように、昨年2月の臨時会において可決された官製談合事件の検証と再発防止を求める決議では、市長に対し「このたびの事件を深刻に受け止め、事件の背景や事実を徹底的に検証し、このような不祥事が二度と繰り返されることのないよう万全の措置を講じることを求めます。そして、市政に対する市民の信頼を回復するために全力を尽くすことを強く望むものであります」と長岡市議会としてこの決議を可決し、磯田市長にこの決議文を送りました。長岡市議会として市長に対し、事件の背景や事実を徹底的に検証するよう求めたにもかかわらず、市長がこの決議に応えようと努力する姿勢を感じることはできません。市が応えない以上は、議会自らが調査するのは当然の責務であります。
3つ目の理由は、事件の根幹部分について、裁判や確定記録に記載されている供述と市の答弁に食い違っている点が複数あり、事実関係の検証が行われていないということであります。具体的には、重大なものとして、県議の要請によって入札におけるくじ引き対策を行ったのか、設計図書に乱数を使用したのか、情報を漏えいした技監の職務内容決定の際、県議に忖度する意図はなかったのか、以上の3点が挙げられます。
いずれも逮捕された元幹部職員のみならず、今も長岡市役所に勤める職員も含め、複数の供述が一致しており、その信用性は相当高いものと考えております。市は、この複数人が一致している証言を否定しております。確かに確定記録に記載されている内容が100%真実であるとは限りませんが、供述者がその内容について間違いないと署名、捺印したものが確定記録にとじられていることは真実であります。
また、特に現職員について、本件について虚偽供述をする動機が見当たりません。つまり先ほども申し上げたとおり、市は市として捜査に全面的に協力したとしながらも、その協力によって得られた証拠を否定しているのであります。この重大部分を明らかにせず、実態が明らかになったとは言えません。再発防止を目的とした詳細な事実関係の調査を行うために、本100条調査権の行使は不可欠であると考えます。
以上で私からの賛成討論といたします。