日記

長岡市の入札制度変更について

2025.09.15

長岡市発注工事の入札制度は、6年半前に発覚した官製談合事件の再発防止策として変動型を採用していましたが、今年9月から事件前の固定型に戻すようで、驚愕しました。

私は市議だった期間のうち、2020~23年にかけて長岡市の談合防止・入札制度問題について議論してきましたが、

事件関係者の証言によれば、事件の経緯は

・平成23年頃、建設業者の積算技術向上により最低制限価格と同額入札が多発した

・結果、長岡市発注工事ではくじ引き落札が連発し、落札する業者が運に左右されるようになっていた

・このような状況を快く思わない県議からの要請によって、設計書の一部を非公表&デタラメな数値に変え、落札させたい業者以外の業者が積算できないようにした(市内部では「積算不可能工事」と呼ばれた)

なお、落札後、設計書を修正して適正な数値に戻していた

・まともに積算していた業者は絶対に予定価格・最低制限価格がわからない入札制度になっていたにも関わらず、最低制限価格ドンピシャで当てる業者が出てきたことから漏えいが疑われていった・・・

・手口は、業者の誰もが積算できない価格情報を知る市職員二人が、県議秘書に漏えい→本命業者にのみ最低制限価格を教示

というものでした。

以上の事実関係を踏まえ、

第三者委員会は再発防止策として変動型最低制限価格制度の導入を提言しました。

その趣旨は

・職員が積算を行い情報を適切に管理する

・市保有情報の漏えいを働きかける動機を極力失わせる

というもので、同様の「官による情報漏えい」が事実上不可能な制度であり、市もこれを導入しました。

市は、逮捕されていない市職員の証言も否定したうえで、

「実態解明は行わないが、事件の背景や要因も踏まえて二度と同様の事件が起こらないようにしていく」と繰り返し答弁していましたが、今回戻す固定型は以前のように、情報漏えいが容易に起こり得る制度であり理解に苦しみます。。。

事件が起きて時間が経ったから、また事件当時の方法に戻そうという事なのではないかという疑念が生じました。。

市議会においても追及されるべき問題です。

【続き】

おそらく、長岡市は固定型に戻す理由付けとして、

変動型では業者の「積算意欲の低下」「運による落札は良くない」という趣旨をいうのではないかと予想しますが、

業者は従来の固定型に対しては「くじ引き多発で運任せ、積算意欲消失」と証言しており、

県議の要請によって発明した固定&ブラックボックス方式については「くじはなくなったが、特定の業者しか落札できなくなった」と証言しました。

仮に、これらの理由で固定型に戻すとしたら、事件の実態を全く踏まえておらず、これまでの市答弁と齟齬します。

要するに、固定型に戻した場合、設計書の一部非公表&実態に即さない数値を入れる等の、異常な制度を導入しない限り、

くじ引きが多発してまた運任せの入札が相次ぎ、変動型と別の意味で積算意欲が低下するだけになるだろう・・と思います。

他、新聞によれば「価格が高めになるケースがある」等と理由を説明しているようですが、どれくらいの落札率なのかも確認すべきです。

たしかに変動型によって平均が95%あたりになっていれば市の意見も理解できますが、

事件当時の最低制限価格は予定価格に対し90%固定であり、通常の積算能力がある建設業者であれば、だれでも算出できる金額でした。

現行(変動型)制度で落札率の90%を大きく超えないようであれば、理由付けとしては成り立たないでしょう(現行の下限価格は85%)。

【続き②】

長岡の官製談合の特徴は、他自治体の談合と違い「最低制限価格(予定価格の90%)で落札するための談合」だったという点です。

2年前に発覚した新潟県の官製談合もそうでしたが、通常は本命(落札予定)業者が、より高額で落札することを目的としており、納税者が損をしますが

長岡方式の談合は最低(当時で言えば下限)価格ですので、ある意味誰も損をしない談合でした。

もちろん、落札業者を県議秘書が決定し、当初談合ネットワークから外れていた業者に対しては、選挙協力を条件に談合ネットワークに加入することを認めたものであることから

「本来であれば落札できたかもしれないのに談合があったために落札できなかった」業者は、相当な数に上ったと思われますが

逮捕された元職員は罪の意識が希薄になっていた理由として

「誰も損をしない」ことを挙げていました。

そうであるにも関わらず事件の反省として再発防止策を策定したのは、市にとって損とか得とかよりも、

入札の公正さ、あるいは公正らしさの方が重いと考えられたからであるはずです。

少なくとも第三者委員会はそういう趣旨で変動型を提言していました。

私と関貴志議員、市は、実態解明の切り札である

事件関係者の証言が詳細に記載された刑事確定訴訟記録を閲覧しましたが市は認めず、実態解明を行いませんでした。

はっきり答弁はしていませんが、議論のトーンとしては「完璧な再発防止策を策定したのだから実態解明を行う必要はない」という私は受け止めましたが、談合当時の制度に戻すのであれば

事件から時間が経っているとはいえ、改めて事実関係の調査を行うべきとしっかり訴えていただきたいと思います。。。

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