県議会12月定例会の報告 ⑵入札制度改革について
2024.01.15
今回の官製談合事件の原因について、これまでの答弁、コメントをみると、逮捕された職員の規律違反、倫理観の欠如、そして、職員個人の非違行為と結論付けていると感じられますが、高い水準にある落札率を含む、入札結果の確認、内部の手続き、これまでに取り組んできた談合防止策の実効性、等における、検証を踏まえて、県の責任はなかったのか、しっかりと総括すべきです。
特に、本県発注工事においては、原則であるべき一般競争入札に比べ指名競争入札、随意契約の割合が非常に高く、納税者、県民の目線に立った入札が行われていたのか、再度検討すべきです。
知事は、これも9月定例会本会議の答弁を引用しますが、「公共工事の入札については、競争性、透明性、公正性の確保が大前提」と述べられました。
一般競争入札は発注者の恣意性が完全に排除され、また自由な競争を通じて契約の価格が決められることから、知事が答弁した三つの大前提、すべてが確保されます。
これに対して指名競争入札は、発注者が入札参加者を選び得る上に、一般論として、談合を誘発する危険性が高く、政官業の癒着が生まれやすいともいわれています。
利点として、不適格業者を排除できることや、地域の建設業者を支え、中小建設業者を育成することが挙げられますが、不適格業者の排除に関しては、全国的に実効性が認められる対策も示されており、地元業者の保護、育成に関しては、地域要件を付けた制限付き一般競争入札として行えば、懸念される要素の多くは十分、対応ができると考えます。
随契に関しては競争にさらされることがないため、知事が「公共工事の大前提」として示された三条件いずれも満たすことはできません。
以上の理由から、地方自治法は、自治体の入札業務においては一般競争入札を原則とすることとしています。
私は、決して指名競争入札や、一定額以上の随意契約による調達をなくすべきだというつもりはありませんが、指名競争入札及び随意契約は、あくまでも例外的な運用にとどめるべきであると考えます。
本県土木部発注の建設工事では、過去3年、令和2年から4年までの発注件数の割合を平均値で示すと
制限付き一般競争入札が1.9%、 指名競争入札が59.4%、随意契約が38.6%となっており、
農地部発注工事は
一般競争入札2.4% 指名競争入札87.1% 随意契約10.5%
土木部発注の建設コンサルタント等業務委託は、
一般競争入札が0.1%となっています。
予定価格や工事の性質等、一概に言えない点もあると思いますが、知事のいう、繰り返しますが競争性、透明性、公正性の確保が大前提であれば、指名あるいは随契によらざるを得ない場合を除き、原則すべて一般競争入札にかけるべきであり、いま紹介したような、偏った数値にはならないのではないかと考えます。
全国的な事例を見ると、指名競争入札を廃止して制限付き一般競争入札に全面移行している自治体もあり、全体的に落札率が低下したことから、大幅な予算の節約ができたとするところもあるようです。
ただこれは当県の入札制度における、現行の運用からみると極端な事例であり、それらを直ちに求めるものではありませんが、今般の事件をきっかけに、当県の入札制度も、根本的に見直す必要があると考えます。
例外として運用すべき指名競争入札及び随意契約での発注が100%に近いことは、自治法の趣旨、原則からすると高すぎる水準にあるというべきであり、抑制的な運用を行うべきと考えます。
答弁は、
「公共工事の品質確保の促進に関する法律」では、「発注者は、公共工事等の性格、地域の実情等に応じ、多様な方法の中から適切な方法を選択できる」とされており、
当県の発注にあたっては、品質確保に加え、地域の建設産業の振興を図る観点から、十分な施工能力や技術的適性を有する地元業者を参加させることができる指名競争入札を中心に運用してきた。
県民生活の安定や産業育成にも配慮しながら、入札制度全般について見直すべき点がないか引き続き検討していく
というものでした。
今般の官製談合事件を受け、より公正性、透明性、競争性が高く、談合が起こりづらい入札方法を県として示していくべきと考えます。