日記

官製談合事件についての一般質問に関する議長対応に対しての意見書  

2020.10.21

明治大学公共政策大学院講師 廣瀬和彦氏の見解

1 令和2年9月定例会における一般質問の不許可通知について

①元職員の不利益について

「質問を許可しない理由」は、全体として元職員側の不利益を過剰に考慮しすぎているのではないか。

「元職員への不利益が事実上生じることになる」等と述べているが、不利益があるかどうかは元職員側が考えることであり、議会側が主体的に考えることは筋違いではないか。議会側は、本来議員の言論を過剰に制約すべきでなく市民の負託を受けた議員の発言自由の原則を保護すべきであり、それによって万が一損害が生じた場合に国家賠償法の規定により措置すれば足りると考える。

②証言の食い違いについて

執行機関の見解と元職員の証言の食い違いを指摘することは、真相を解明し、再発防止を目的とする質問である以上可能である。

質問は、確定記録に記載されている証言に基づいて行われており、それを議員が質問において引用することは不穏当の言動に該当せず問題ないと考える。食い違っているのであれば、どちらが真実なのか100条調査等を用いて真実を明らかにし再発防止に努めることはありえる。

③国家賠償請求について

「本市に対して国家賠償請求される蓋然性がある」と述べられているが、質問通告不許可の理由にはならないと考える。それを言ってしまうと政務活動費で住民訴訟で訴えられる恐れがあるとしてすべて政務活動の支出ができないことと同じである。

議会で議論する前提で確定記録の閲覧申請を行っている以上、まず閲覧させたことが問題であれば検察が元職員に訴えられるのではないか。仮に、議員による確定記録の引用に違法性が認められるのであれば、検察から当該議員に対して警告等が発せられるといえる。もし議長が議員が確定記録を閲覧し、質問に引用しようとするのは目的外利用であると考えるならば、まず検察に訴えるべきではないか。

たしかに、元職員から市に対して国家賠償請求される可能性はあるが、本会議の場での質問・答弁は「正当な職務行為」であるうえ、本記録は公文書であり、その事実を議員は引用しているのであるから、合法な行為として仮に相手方の名誉を棄損していても国家賠償請求は認められない可能性が高いものと考えられる。

2 「官製談合事件について」の一般質問に関する議長見解について

①議会基本条例第14条の規定について

総合的かつ大局的な質問をすべきとのことだが、特に罰則規定が存在しないこと、市の一般事務に該当する範囲の質問であれば、議員の良識に委ねるべきものでありこれを理由として許可をしないことは適当でないと解する。

②質問者が特定の理事者の答弁を執拗に求めることについて

法的に問題ない。答弁者が答弁するかどうかの判断権を有するため。

③質問の終わり方が各派代の申し合わせに反すること

申し合わせは法律ではないので適・不適の問題は生じたとしても、法的

に違法とは言えない。

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