議会での活動

令和5年12月県議会 本会議(官製談合事件について、柏崎刈羽原発について)

2025.05.27

◆諏佐武史君 未来にいがたの諏佐武史でございます。通告に従い一般質問いたします。
 まず、官製談合事件についてでございます。
 今年9月20日、県新発田地域振興局発注の農地区画整理工事入札をめぐり、本県職員が官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕され、また10月11日、別の公共工事でも同様に予定価格を事前に業者に漏えいしたとして再逮捕されました。
 この事件は農地区画整理工事に関わるものでありますが、本県発注工事の入札・契約業務全体の在り方が問われる根深い事件であり、調達業務を担う全ての担当者、職員が総力を挙げて実態解明、再発防止に取り組むべき問題であると考えます。
 事件を受け、花角知事は今年9月定例会において、本事件の対応として、職員の綱紀の保持及び服務規律の確保に努めるとともに、捜査の過程で明らかとなる事実関係を踏まえ、必要な対策を講じることにより、再発防止に全力を尽くすと答弁され、今定例会の冒頭では、公判の状況を見極めながら対策の検討を進めていると説明されました。
 しかし、我が国の刑事訴訟法は起訴便宜主義を採用していることから、知事が答弁された捜査の過程で明らかになる事実関係や公判で示される事実は、事件の全容における一部となることが一般的であり、それらをもって実態解明とすることはできません。
 近年では、企業、また様々な組織でも不祥事が発覚した場合、警察による捜査とは別に、内部調査または第三者委員会などを設置して徹底的に実態解明を行うのが一般的であり、常識的な対応であると考えます。
 この点を踏まえると、今年9月定例会及び今定例会において知事が説明された、捜査、公判で明らかになる事実のみに基づいた対策だけでは足りず、県の独自調査に基づいた再発防止を検討する必要があると考えます。
 例えば現職員または逮捕された職員への聞き取り、アンケートも含めた内部調査、裁判の傍聴や第三者委員会を設置しての調査など、県として徹底的な実態解明が必要と考えますが、今後どのような手段を用いて事件全体の実態解明を行う考えなのか、知事の所見を伺います。
 次に、再発防止策についてであります。
 先ほども述べたとおり、今定例会の冒頭、知事は提出議案説明の要旨で、公判の状況を見極めながら必要な対策を進めているという説明がありました。一般的に官製談合が発覚した自治体の調査項目として、全庁的な入札制度の見直し、入札状況に規則性がないかなどの徹底した確認、県の人事異動の在り方、職員と業者の関わり方のルールの見直しなどが挙げられるようでありますが、現在進めている対策などについて伺います。
 次に、県民への報告についてであります。
 県内では、2018年に佐渡市、2019年に長岡市、2020年に新潟市秋葉区、2021年に糸魚川市で官製談合が発覚し、それぞれの自治体において、程度は異なりますけれども、市民に対する報告が行われました。
 内容は、独自調査や第三者委員会の調査などに基づく談合の実態、そして再発防止策、この2つをセットにしてまとめた報告書が適切であると考えますが、自治体によっては起訴事実以外の実態を明らかにせず、再発防止策のみをまとめて報告した例も散見されます。
 先ほども述べたように、捜査及び公判によって明らかになる事実関係は、事件全体で見れば一部となることが一般的であり、また違法性及び罪責しか審理・判決されないことから、事件における端緒、動機、経緯などの内容を詳細に県民に伝える手段は、県による自主的な報告しかないのであります。
 また、ここ最近、組織における不正や不祥事が数多く報道されるようになりましたが、こうした場合の対応として、専門家によって表現は異なりますけれども、大切なことは謝罪、原因や背景も含めた事実関係の解明、そして再発防止、この3点を誠実かつ迅速に行うことが重要とされているようであります。
 さらに言えば、事実関係の説明においては、情報の受け手が納得できるレベルで事実を明らかにすることが大切であると言われております。
 捜査及び公判、そして県の独自調査によって明らかになった事実関係を体系的にまとめ、それらを踏まえた再発防止策を県民に分かりやすく公表すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 この項最後に、本県発注工事の入札の在り方について伺います。
 今回の官製談合事件の原因について、これまでの答弁あるいはコメントを見ると、逮捕された職員の規律違反、倫理観の欠如、そして職員個人の非違行為と結論づけていると感じられますが、高い水準にある落札率を含む入札結果の確認、内部の手続、これまでに取り組んでこられた談合防止策の実効性などにおける検証を踏まえて、県の責任はなかったのか、しっかりと総括すべきであります。
 特に本県発注工事においては、原則であるべき一般競争入札に比べ、指名競争入札、随意契約の割合が非常に高く、納税者、県民の目線に立った入札が行われていたのか、再度検討すべきであると考えます。
 知事は、これも9月定例会本会議の答弁を引用しますが、公共工事の入札については競争性、透明性、公正性の確保が大前提と述べられました。
 一般競争入札は、発注者の恣意性が完全に排除され、また自由な競争を通じて契約の価格が決められることから、知事が答弁した3つの大前提、全てが確保されます。
 これに対して指名競争入札は、発注者が入札参加者を選び得る上に、一般論として申し上げますけれども、談合を誘発する危険性が高く、政官業の癒着が生まれやすいとも言われています。
 利点として、不適格業者を排除できることや、地域の建設業者を支え、中小建設業者を育成することが挙げられますが、不適格業者の排除に関しては、全国的に実効性が認められる対策も示されており、地元業者の保護、育成に関しては、地域要件をつけた制限付一般競争入札として行えば、懸念される要素の多くは十分対応ができると考えます。
 随意契約に関しては、競争にさらされることがないため、知事が公共工事の大前提として示された3条件いずれも満たすことはできません。
 以上の理由から、地方自治法は、自治体の入札業務においては一般競争入札を原則とすることとしています。
 私は、決して指名競争入札や一定額以上の随意契約による調達をなくすべきだと言うつもりはありませんが、あくまでも例外的な運用にとどめるべきであるという視点に立って質問するものであります。
 本県土木部発注の建設工事では、過去3年、令和2年から4年までの発注件数の割合を平均値で示しますが、制限付一般競争入札が1.9%、指名競争入札が59.4%、随意契約が38.6%となっており、農地部発注工事は、一般競争入札2.4%、指名競争入札87.1%、随意契約10.5%、土木部発注の建設コンサルタント等業務委託は、一般競争入札が0.1%となっています。
 これも予定価格や工事の性質など一概に言えない点もあると思いますが、知事の言う、繰り返しますが、競争性、透明性、公正性の確保が大前提であれば、指名競争入札あるいは随意契約によらざるを得ない場合を除き、原則全て一般競争入札にかけるべきであり、今紹介したような偏った数値にはならないのではないかと考えます。
 全国的な事例を見ると、指名競争入札を廃止して制限付一般競争入札に全面移行している自治体もあり、全体的に落札率が低下したことから、大幅な予算の節約ができたとするところもあるようであります。
 ただ、これは当県の入札制度における現行の運用から見ると極端な事例であり、それらを直ちに求めるものではありませんが、今般の事件をきっかけに、当県の入札制度も根本的に見直す必要があると考えます。
 詳細な議論は後日させていただこうと考えておりますけれども、ここではひとまず、今述べた視点に基づいて伺います。
 例外として運用すべき指名競争入札及び随意契約での発注が100%に近いことは、自治法の趣旨、原則からすると高過ぎる水準にあると言うべきであり、抑制的な運用を行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、柏崎刈羽原発についてであります。
 まず、避難計画の問題について伺います。
 柏崎刈羽原発で事故が発生した場合、UPZ内、つまり原子力発電所から半径30キロメートル以内では、放射線量が基準を超えた地域から避難などすることを想定していることは承知しておりますが、事故の規模や天候によっては、UPZ内の住民の大部分が避難を強いられる可能性は否定できません。
 UPZ内には約41万人の住民がおり、これらの住民がバスで避難することを想定した場合、1台につき40人乗車しても、最大1万台程度のバスが必要となりますが、必要なバスが確保できるのか疑問に感じているところであります。ただ、当然、全部バス避難というのは非現実的で、マイカー避難も検討しなくてはなりませんが、緊急時の位置づけは曖昧と認識しています。
 県は、最悪の場合、つまり事故の規模や天候によって、例えば大規模な放出が集中的に始まって、一斉に避難しなければならないような場合、UPZ内でバスやマイカーを利用して避難する住民が何人だと把握し、避難のためのバスは何台確保できると見込んでいるのか、まず伺います。
 次に、米国では、事故のとき対応に向かう者は、あらかじめ名簿を作成して本人同意を得ており、さらに実際に現場に向かう際には、もう一度本人の意思確認を行うと認識しているところであります。本人同意を取っておかなければ、福島原発の事故の際に明らかになったように、いざというときに大混乱が予想されるわけであります。
 県では、柏崎刈羽原発のPAZ内の住民がバスで避難するため、バス運転手などの名簿の作成や事前同意を行う考えがあるのか伺います。
 そして、東海第二原発の地元自治体では、乗用車で避難する人数、バス避難が必要な人数をアンケートで把握していると認識しております。柏崎刈羽原発での実際の避難を想定するのであれば、このような事前の調査は必要だと考えますが、本県での実施状況について伺います。
 次に、避難業務の担い手についてであります。
 放射性物質放出後の避難業務を想定する場合、放射性物質の人体への付着を避けるため、防護服の脱着の訓練は必要であり、例えば、防護服着用時のお手洗いの際にどう対応するかなども理解していなければなりません。
 県では、避難業務の担い手となるバスの運転員に対して、放射線防護の研修、訓練をどのように実施しているのか伺うとともに、研修等の受講者のうち、どの程度の人が実際に業務に従事できると考えているのか伺います。
 次に、被曝限度量についてであります。
 新潟県原子力災害広域避難計画では、UPZ内の住民の避難は、準備・情報収集の後、まず屋内退避が行われ、避難開始は、放射線量が実測で500マイクロシーベルトアワーになってからと定められています。避難に当たっては、一般公衆の年間被曝限度量は1ミリシーベルトであることを考えれば、2時間で避難しないと限度量を超えてしまうことになります。
 3つの検証総括報告書にも、意見としてでありますが、1ミリシーベルトを超える被曝を許容する避難計画に実効性があるとは言えない、まずは1ミリシーベルトを超える被曝を生じないような避難計画の策定について議論すべきであると記載がありましたが、混乱が予想される中で、どう考えても2時間程度で避難することは現実的ではないと考えます。
 県は、住民が年間被曝限度量を超えないよう避難することが、現状で実際に可能と考えているのか伺います。
 次に、バス等の運転員の確保について伺います。
 バス等の運転員の確保は、一般公衆の年間被曝限度である1ミリシーベルト以内という前提で行っていると承知しています。UPZ内の避難は、500マイクロシーベルトアワーを超えてから行うこととなれば、従事できる時間は極めて限られるため、事実上最初からバス運転員の確保は困難と考えられます。
 このため、UPZ内の避難は、原子力災害対策指針における屋内退避の原則を改めるよう働きかけるか、1ミリシーベルト以上の被曝を前提とした運転員の確保とするよう改めるなどの働きかけ、あるいは対応が必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、災害時の復旧について伺います。
 中越沖地震においては、北陸自動車道が通行不能になりましたが、緊急自動車だけは12時間ほどで通行可能になるように復旧工事が行われたと聞いております。
 地震との複合災害で原発事故が発生し、全面緊急事態に至った場合、PAZ内の住民は即時避難が求められ、避難路の確保が必要である一方、UPZ内では工事関係者も含めて屋内退避が求められますが、防護措置が必要な中、誰がどのように復旧工事を行うと想定しているのか、認識を伺います。
 次に、東京電力の組織体制の見直しについてであります。
 東京電力ホールディングス社長の執務場所は基本的に東京であり、事故があっても直接放射性物質を浴びるリスクは高くありません。一方、北欧の原発では、原発の安全性に権限と責任を持つ発電会社の社長は原発構内で執務を行っているところもあり、安全性の確保は他人事ではなく、自分のこととして厳格に取り組んでいると承知しております。
 柏崎刈羽原発は東電から分離して、原発の運転に関することは柏崎刈羽原発で判断し、決定できるように組織見直しを求めるべきではないかと考えますが、知事の認識を伺います。
 次に、県における再稼働の可否、手続について伺います。
 現在、新潟県、柏崎市、刈羽村、東京電力の4者で安全協定を締結していますが、これは法的な規制ではない上に、再稼働の判断における県の関与を明確に示したものではありません。
 知事はこれまで、県としての再稼働是非の判断という点に言及しており、事実上の事前了解権を県は持っていると広く理解されていますけれども、県の判断が再稼働に直接関与できることを明確に示したものは、いまだ存在していないと認識をしています。
 現在の安全協定では、原発施設及びこれと関連する施設等の新増設をしようとするとき、または変更するときは、事前に新潟県及び柏崎市、刈羽村の了解を得るものとするという程度のものでしかなく、県として再稼働に関与する権限の根拠としては足りないのではないかと考えます。
 法的な根拠に基づく権限、そうでなくても、安全協定の中で、発電所を稼働しようとするときに県及び柏崎市、刈羽村の了解を得るものとする程度の文言がなければ、権限が明確にならないと考えますが、県における原発再稼働の議論の根拠、そしてまた、そこまで本当にできるのか、知事の所見を伺います。
 次に、UPZ自治体を含めた立地自治体以外の自治体の意向の取りまとめについてであります。
 原発で事故が起き、放射性物質の放出が懸念される事態となった場合、避難計画では、PAZである5キロ圏の住民は、原発から放射性物質が放出される前に糸魚川市や村上市などに避難しますが、UPZである30キロ圏の住民は、すぐには避難せず、屋内退避という形で自宅などにとどまります。
 この屋内退避の理由の一つは、それだけではないと思いますが、5キロ圏住民の優先避難への協力であると認識しています。
 また、屋内退避では一定の被曝が想定されていることから、計画上はUPZ住民よりもPAZ圏住民のほうが安全であると言うこともできます。
 5キロ圏住民を抱える立地市町村である柏崎市及び刈羽村は、実質的な事前了解権、これ先ほども申し上げましたが、同意しなければ再稼働させることができない権利、これを有していると考えられますが、30キロ圏の自治体、UPZは有していない現状であります。ある意味では、5キロ圏住民よりもリスクが大きい住民を抱える30キロ圏自治体が事前了解権を持たないことは、このリスクと権限のバランスが取れていないのではないかと考えております。
 茨城県の東海第二原発では、30キロ圏自治体が電力事業者と事前了解権つきの安全協定を締結することで、事前了解権が拡大しております。また、島根原発では、事前了解権を有する知事と30キロ圏自治体が覚書を交わすことで、事前了解権に準じた仕組みが構築されました。
 原発から放射性物質が放出される危険性が生じた場合、誰もが、より遠く、より安全な地域に避難したいと考えます。被曝リスクの高い5キロ圏住民の優先避難に協力して、主に自宅で屋内退避するUPZ圏内の自治体、住民も納得した上で議論されるべきであります。
 以上を踏まえて幾つか質問いたします。
 まず、知事は、UPZ自治体を含めた立地自治体以外の自治体の意向の取りまとめと柏崎刈羽原発の再稼働に関する意思表示について、いつ、どのような方法で行うのか、所見を伺います。
 また、私の地元である長岡市の担当課長は、長岡市議会総務委員会で以下のように答弁されています。長岡市は県下第2の都市であり、UPZ内の人口の6割を占めている市である。長岡市の意向というものは重いものと思っているので、そういった長岡市の属性、特性もしっかりと伝え、今後県から示されるであろう手法の中で、長岡市の意向が反映されるように努力していきたい。
 ほかにも長岡市議会本会議で担当室長は、立地自治体以外の市町村で一くくりなどという乱暴な話ではなくて、少なくとも周辺自治体として30キロ圏内のUPZ市町村としての本市の意思は、相応に受け止めていただけるのではないかというふうに考えているということであります。少なくとも長岡市は、そのように考えているようであります。
 このように、今後UPZ自治体とUPZ外自治体といった立場の違いや、自治体間でも様々な意見の相違が生じると予想されますが、各自治体の意向をどのように取りまとめていくつもりなのか、知事の所見を伺います。
 そして、これも私の地元である長岡市ですが、長岡市長は、市としての再稼働是非の判断は、知事判断に反映することで実現していく方針を示しています。ほかの首長にも同趣旨の発言がありますが、このような県内市町村からの要求あるいは希望を、知事は再稼働の是非の判断に加えることができるのか、あるいは加えるつもりがあるのか、認識を伺います。
 次に、知事がこれまで、今後の議論の材料になるとして示された内容について伺います。
 知事は、今年9月定例会で、地域経済等への効果について調査を検討すると答弁され、今後の議論の材料になると発言したと報じられております。
 これまでは、県による検証の終了後に再稼働の是非を判断するということを一貫して述べられてきたわけであります。
 そして、その県の検証というのは、福島原発事故の原因あるいは避難計画などについて検証するということであって、全体的に言えば原発や原発事故時の安全性について県は検証を行ってきた、そして、その検証結果を基に再稼働の是非を判断するということを述べられてきたと私は認識しています。
 したがって、この知事の判断というのは、この原発、そして事故になった場合の安全性に基づいて再稼働の是非を判断されるのではないかというふうに多くの県民が感じていたのではないかと思いますが、ここへ来て県が、検証委員会で検証してはいない地域経済などを、唐突に新しい判断項目に追加したということに関しては、私は極めて疑問に感じているところであり、3つの検証以外の論点を意図的に増やそうとしているように感じます。
 今回、柏崎刈羽原子力発電所の地域経済などへの効果に係る調査を実施する理由について改めて伺います。
 そして、この地域経済などへの効果に係る調査をする必要があるのであれば、もっと早くから調査できたはずですが、なぜこの時期までできなかったのか伺います。
 また、今年5月10日の記者会見で、知事はエネルギー情勢や電力需給の状況、脱炭素に向けた動きも考慮するという考えを示されたと報じられています。これらの背景が新たに示された理由を伺うとともに、例えば、避難計画に実効性はないが、エネルギー事情を考慮して賛成するというような議論の進め方も含め、それらの背景を今後の再稼働の議論の中でどのように考慮しようとしているのか伺います。
 最後に、県民に信を問う方法についてであります。
 実質的に事前了解権を有していると考えられる新潟県、知事は、再稼働の是非を判断するに当たり、県民の信を問うと明言しており、その際には、立地自治体である柏崎市と刈羽村以外の、長岡市を含む県内市町村の意見を県が取りまとめる方針であります。
 県民の信を問うとは、一般的には住民投票か県知事選挙と考えられますが、県議会の同意も選択肢であるということが示されています。
 知事は、県民に信を問うと選挙で直接県民に公約したわけであります。選挙後、記者会見で県民に信を問う方法を問われた際、議会の信任や住民投票を例示したことが報じられていますけれども、県民に信を問う方法に、議会の信任という直接県民に信を問わない選択肢がなぜ存在するのか、私は大きな疑問を持っておりますけれども、この点について知事の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事花角英世君登壇〕

P.113 ◎答弁 知事(花角英世君)

◎知事(花角英世君) 諏佐議員の一般質問についてお答えいたします。
 まず初めに、予定価格等漏えいによる職員逮捕の事案に係る実態解明についてでありますが、内部で調査を行っておりますが、捜査権限もなく、調査には限界があることから、公判で明らかとなる事実関係を踏まえ、事件の全体を把握し、対策を講じることとしております。
 次に、再発防止に向けた対策の検討についてでありますが、現在、どのような対策を取り得るか検討を行っているところです。今後、公判で明らかとなる事実関係を踏まえ、事件の全体を把握し、対策を講じることとしております。
 次に、再発防止に向けた対策の公表についてでありますが、公判で明らかになった事実関係を踏まえ、事件の全体を把握し、対策を講じることとしており、その内容について公表し、県民の信頼回復に努めてまいります。
 次に、指名競争入札等の抑制的な運用についてでありますが、議員御指摘のとおり、地方公共団体の契約締結に当たっては、一般競争入札によることが原則とされております。
 一方で、公共工事の品質確保の促進に関する法律では、発注者は、公共工事等の性格、地域の実情等に応じ、多様な方法の中から適切な方法を選択することができるとされているところであります。
 このため、県では、建設工事等の発注に当たっては、品質の確保に加え、地域の安全・安心を担う建設産業の振興を図る観点から、十分な施工能力や技術的適性を有する地元業者を参加させることができる指名競争入札を中心に運用してきたところであります。
 県といたしましては、平成18年12月定例会において全会一致で可決された、官製談合等公共調達に係る不正の根絶と入札制度改革についての決議の趣旨を踏まえ、県民生活の安定や産業育成にも配慮しながら、入札制度全般について見直すべき点がないか、引き続き検討してまいります。
 次に、柏崎刈羽原発についてお答えをいたします。
 まず、UPZ内の住民の放射線防護対策についてでありますが、国の原子力災害対策指針では、UPZ内の住民は、まず、全面緊急事態となった段階で屋内退避を実施し、さらに、放射性物質が放出された後、国の指示により、放射線量が基準以上に上昇した地域を対象に避難等を行うこととされております。
 避難等の基準については、議員御指摘の1時間当たり500マイクロシーベルトの空間放射線量率が計測された地域では、数時間から1日以内に避難すること、1時間当たり20マイクロシーベルトの空間放射線量率が計測された地域では、1週間程度の間に避難することが示されております。
 県といたしましては、県民の安全を最優先に、被曝が健康に影響のないようにとどめられ、かつ、大きな混乱なく確実に実行できることについて相当程度の確証が持てるよう、広域避難計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。
 次に、原子力災害時におけるバス等の運転員の確保についてでありますが、県では、県バス協会等と締結した協定に基づき、従事者の業務実施による被曝線量の予測を行い、1ミリシーベルトを下回る場合に、協力を要請することとしております。
 予測の結果、従事者の被曝線量が1ミリシーベルトを超えるおそれがある場合は、自衛隊等の実動組織に協力を要請することとしております。
 次に、原子力災害時における避難路の復旧工事についてでありますが、県では、全面緊急事態に至り、さらに、民間事業者による対応が困難となった場合には、自衛隊等の実動組織に協力を要請することとしております。
 次に、柏崎刈羽原発を東京電力から分離するという御意見でありますけれども、東京電力の組織の在り方そのものについては、国、東京電力でお考えになることであり、県として申し上げることはありません。
 いずれにいたしましても、東京電力には、安全最優先の取組を、行動と実績で示していただきたいと考えております。
 次に、柏崎刈羽原発の再稼働についてでありますが、議員御指摘のとおり、県、柏崎市、刈羽村、東京電力の4者で締結している安全協定に、柏崎刈羽原発を再稼働させないという条項はありません。
 次に、柏崎刈羽原発の再稼働に関する市町村の意見の取りまとめ時期や方法についてでありますが、柏崎刈羽原発の再稼働に関する今後の議論の具体的な進め方については、原子力規制委員会の追加検査の状況等を踏まえながら検討してまいります。
 いずれにいたしましても、市町村と協力をして、立地自治体以外の自治体の意向を取りまとめ、意思表示を行うことで広域自治体としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 次に、柏崎刈羽原発の再稼働に関する市町村の意見の取りまとめ方法についてでありますが、今ほどお答えしたとおり、柏崎刈羽原発の再稼働に関する今後の議論の具体的な進め方については、原子力規制委員会の追加検査の状況等を踏まえながら検討してまいります。
 いずれにいたしましても、市町村と協力して立地自治体以外の自治体の意向を取りまとめ、意思表示を行うことで広域自治体としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 次に、柏崎刈羽原子力発電所の地域経済等への効果に係る調査を実施する理由についてでありますが、この施設による地域経済等への具体的な効果について把握する必要性は、かねてから認識しておりました。
 このたび、福島第一原発事故に関する3つの検証の総括結果を取りまとめ、今後、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する議論が進められるものと考えており、9月定例会における御意見等を踏まえ、調査を実施することとしたところです。
 次に、柏崎刈羽原子力発電所の地域経済等への効果に係る調査の時期についてでありますが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の議論については、3つの検証結果が示された後に始めたいと申し上げてまいりました。
 このたび、福島第一原発事故に関する3つの検証の総括結果が取りまとめられたことから、9月定例会における御意見等を踏まえ、調査を実施することといたしました。
 次に、柏崎刈羽原発の再稼働に関する今後の議論の進め方についてでありますが、県としましては、福島第一原発事故に関する3つの検証の取りまとめ、原子力規制委員会の追加検査を踏まえた判断、技術委員会における安全対策等の確認、原子力災害発生時の避難の課題への取組などを材料に議論を進め、県民等の意見を聞き、その上で判断・結論を出して県民の意思を確認することを考えております。
 今後の議論の具体的な進め方については、原子力規制委員会の追加検査の状況等を踏まえながら検討してまいります。
 なお、5月10日の定例記者会見における資料の中で、背景としてお示ししたエネルギー情勢、電力需給の状況、脱炭素に向けた動きなどは、今後、施設の必要性という議論になった際に当然関係してくるものであることから、記載したところであります。
 次に、信を問う方法に関する御指摘でありますけれども、議員御指摘の報道は、信を問う方法についての御質問に対して、解釈の可能性という意味では、議会の審議とか、あるいは住民投票とか、可能性とすればあるのかもしれませんが、一般的な語感からすれば、まさに存在をかける、という意味合いが強いとお答えしたものであります。
 なお、柏崎刈羽原発の再稼働に関する今後の議論の進め方については、福島第一原発に関する3つの検証の取りまとめ、原子力規制委員会の追加検査を踏まえた判断、県の技術委員会における安全対策等の確認、原子力災害発生時の避難の課題への取組などを材料に議論を進め、県民等の意見を聞き、その上で判断・結論を出して、県民の意思を確認することを考えております。
 県民の意思を確認する方法については、議会での議論や住民の直接投票等、様々な手法が考えられます。
 その手法について、現段階で決めているわけではありませんが、私は、信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法であると考えています。
 今後の議論の具体的な進め方については、原子力規制委員会の追加検査の状況等を踏まえながら検討してまいりたいと思います。
   〔防災局長原直人君登壇〕

P.115 ◎答弁 防災局長(原直人君)

◎防災局長(原直人君) 4点についてお答えいたします。
 UPZ内の住民の避難についてでありますが、県では、令和2年に実施した原子力災害時の避難手段に関する調査結果に基づき、UPZ内の住民約6万人がバスで避難すると試算しており、UPZの全域が避難すると仮定した場合、約1,400台の大型バスが必要となります。
 また、残りの約35万人は自家用車で避難すると試算しております。
 一方、県では、原子力災害時における住民の輸送手段を確保するため、令和2年に新潟県バス協会と原子力災害時における人員の輸送等に関する協定を締結しております。
 県内のバス事業者によるバスの保有台数は約2,000台であり、災害時には協定に基づき、バス事業者に協力を要請し、必要な台数を確保することとしております。
 次に、原子力災害時に対応していただくバス運転手等の名簿の作成と事前同意についてでありますが、県では、県バス協会と、原子力災害時におけるバスの要請方法や運転手の安全確保等について定めた、原子力災害時における人員の輸送等に関する協定を締結しております。
 原子力災害時には、同協定に基づき、協会加盟のバス事業者に対して協力を要請することとしており、県とバス事業者間の連絡を円滑に行うため、連絡責任者等を取りまとめた緊急連絡表を整備しております。
 県といたしましては、原子力災害時には、同協定に基づき、各バス事業者において適切に対応していただけるものと考えており、バス運転手等の名簿の作成や事前同意を行うことは考えておりません。
 次に、避難手段に関する調査についてでありますが、県では令和2年に、原発からおおむね5キロ圏内のPAZ内の全世帯を対象として、原子力災害時の避難で利用する交通手段についてアンケート調査を行っております。
 調査の結果、自家用車で避難する人数の割合は84.7%、バスで避難する人数の割合は15.3%となっております。
 調査結果に基づき、避難で用いる車両の台数を試算し、必要なバスを確保するために県バス協会との協定を締結するなど、避難計画の実効性の向上に取り組んできたところです。
 次に、バス運転員に対する研修等の実施についてでありますが、県では、県バス協会と締結した協定に基づき、放射線に関する基礎知識を学ぶとともに、防護服の着脱や個人線量計の取扱方法等の訓練を含めた研修を開催しており、令和4年度に4回、今年度も4回実施する予定としております。
 県といたしましては、研修を受講いただいた方には、原子力災害時において、業務に従事していただけるものと考えております。
 引き続き、実施時期を工夫するなどしながら、より多くの方が参加できるよう取り組んでまいります。
   〔諏佐武史君登壇〕

P.116 ◆質問 諏佐武史君

◆諏佐武史君 今、知事の御答弁の中で、捜査権に限界があるため、全体を把握してという御答弁をいただいたのですが、先ほども申し上げたように、警察の捜査あるいは裁判による公判というものは、違法性とか、あるいは罪責についてのみ審理されるわけですので、私が申し上げているのは、もう少し広い枠組みの、これまでの入札関連業務に係る事務手続あるいは、その進め方が適正に行われていたかどうかという視点で、やっぱり幅広い調査が必要なのではないかということで、最初の質問通告の際にお話をさせていただいていると思うので、その点を再質問、再答弁を求めたいと思うのと、すみません、もう一つ。
 私のもしかしたら聞き間違い、聞き取り方が悪かった可能性があるのですが、県として、安全協定の内容の話についてなのですが、原発を再稼働させない権限が云々という話で答弁いただいていると取ったのですけれども、そういう趣旨ではなくて、再稼働させるにせよ、させないにせよ、新潟県が原発の再稼働に関与する権限を明確に示したものがないので、そこを最終的に目指していくべきではないかという部分、そしてそこまで本当にできるのかという点をお伺いしましたので、以上の点、再答弁を求めたいと思いますが、これは再質問でいいのですよね。なので、すみません、よろしくお願いします。
   〔知事花角英世君登壇〕

P.116 ◎答弁 知事(花角英世君)

◎知事(花角英世君) 諏佐議員の再質問にお答えしたいと思います。
 まず、1点目のほうは、内部で調査を行っていますと申し上げたところでありますけれども、御指摘のように、当然これまでの入札の方法、やり方とか、そのことによってどういう状態が起きているかなど、御指摘のような幅広い視点で調査を進めるべきだと思っています。
 それから、2つ目の再稼働に関する地元の意見の反映というところでは、先ほどお答えしたとおり、これは議員自身もおっしゃられましたけれども、4者で締結しております安全協定では、そうした再稼働についての判断の権限はありません。
 したがいまして、国が今、新潟、柏崎に限らず様々な地域でやっておられる地元の理解を求めるという行為は、エネルギー基本計画に基づいて、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むと書かれていること、それに基づいて照会されているものと理解をしています。

P.117 ○議長 議長(楡井辰雄君)

○議長(楡井辰雄君) 諏佐武史君の質問は終わりました。

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